最古の地図~地球が丸いことが証明されるまで

紀元前2000年頃になると、バビロニアや中国で、当時の全ての知を集積して世界図が作られるようになりました。しかしもちろんそれは地球全体にまではその視野は及んでいません。現存する最古の地図は、イラクで出土した紀元前700~500 年頃の古代バビロニアの粘土板であるといわれています。大英博物館に所蔵されていますが、一見すると地図とは思えないような記号が描かれています。当時は、世界は円盤のように広り、その周りを海が囲っていると思われていたといわれます。中心に首都バビロンがあり、二本の平行線はチグリス、ユーフラテス川を表し、三日月状にペルシャ湾も描かれています。

2世紀にはプトレマイオスが「地理学」のなかで地球が球体であることを前提に地図づくりを試みています。プトレマイオスは「地理学」とは、知られている全世界を、そこに介在する現象ともども絵によって表現することである」といっています。神話性を排除しつつ、極めて科学的な意思が見られるものです。地球の大きさの実感を示そうとした初めての学者といわれています。しかし東西ローマの分裂によりその後の中心となる西側には業績が伝わらず、1000年以上の後の大航海時代に発見され、再評価されます。西洋の中世はギリシア時代の哲学や科学、の発展とはうって変わり、ローマはキリスト教の一神教、聖書を基盤に文化が人々に広まる宗教の時代でした。その世界観は地図にも反映されます。プトレマイオスの地図では現在と同じく北が上にかかれていますが、中世ヨーロッパに残されている広域地図では東方が上になります。アジア、そしてエデンの園がその最上に描かれました。人々の生活感は実際に東西南北に広がる大地ではなく、天上世界にあったといわれています。6世紀に生まれたイスラム地図では、南が上に位置し、絵のように描かれています。イスラム世界同様、数学や科学の発展していた中国では、紀元前後の漢の時代にも測量技術など発達し、7~10世紀の唐の時代には精密な東アジア圏の地図が作成されています。