ダイマクション地図

「宇宙船地球号」などの言葉で知られる、アメリカのバックミンスター・フラー(1895~1893)が発明した、通称「ダイマクション・マップ」とよばれる世界地図は、球にいちばん近い20枚の正三角形からなる正二十面体に地図を投影し、地形をなるべくゆがませずに正確な面積を得るために方位を無視して、陸地をひと続きのままに展開した地図です。地図は、長方形や楕円ではなくギザギザの形になっています。面積のずれはメルカルトより小さく、形の歪みもガルピ-タースより小さいといいます。

世界の大陸が、実は一続きの島のように隣接していることがわかります。バックミンスター・フラーは思想家であり、建築家であり、詩人であり、発明家でした。「ダイマクション」とは「ダイナミック=躍動的な」「マキシマム=最大限」を組み合わせて、作られた造語だそうです。

フラーによると、宇宙には上下や南北はなく、外と内だけがあり、恒星と惑星の重力が、重力中心の方向という意味の「内」と、重力中心から離れる方向という意味の「外」とをつくります。ダイマクション地図は、北が上を示すような「正しい上方向」を示さないこということです。これはこれまでの平面の地図と大きく異なるところとなります。フラーは北が上で南が下になっている他の多くの地図を文化的偏見によるものだと考えました。地球や世界にたいする固定観念や偏見、先入観を取り除くことが、この地図を作成した目的だったともいえます。この地図が作られた当時は米ソによる東西冷戦時代でした。米ソは、ワシントンとモスクワは太平洋もしくは大西洋とヨーロッパを介して距離的には遠いようにみえますが、北極を挟んですぐ隣り合っているようにみえます。戦争に対する危惧と警鐘を表した地政学の感覚にも訴えかける地図だったといえます。